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ビジネス基本情報

アメリカで仕事を探す

    【執筆】 マックス・コンサルティング・グループ 社長/名倉 学   理想のキャリアを築くためのポイント 人は人生のうち、多くの時間を仕事に費やし、仕事を通じて自己表現する。自分が望むキャリアを獲得するためにはどのようなステップを踏んでいけばよいか解説したい。 市場分析 市場が求める人材の分析を行うことが大切。 近年は、必要とされるスキルや資質が多様に変化している。型にはまった業務能力、専門知識、事務処理能力から、ユニークな創造力、戦力立案能力、ものごとを概念化して捉える状況判断能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力、交渉力などのヒューマンスキル(対人関係を円滑に処理する能力)が要求されるようになってきている。 自己分析 自分の能力を正しくアピールするためには、まず現在の自己価値を認識しなければならない。多くの人は根拠なしに自分を過大評価する傾向があるが、キャリアアップを成功させるためにも、きちんと自己分析を行うことは必須条件。 また、業務に関する知識やスキルがあれば人に認めてもらえると考えがちだが、そこにコミュニケーション能力が存在しなければ、実力を他人に理解してもらえないということを覚えておこう。 下記は能力をカテゴリー分けしたもの。自己分析を行い、自分がどの面に強く、またどの面に弱いか冷静に判断してみよう。 自己能力の測定 ▶知識 ・マーケティング、営業 ・生産管理、オペレーション ・経営戦略、企画 ・情報技術 ・技術、研究開発 ・財務、会計 ▶スキル ・業務管理力 ・職務遂行力 ・コミュニケーション力 ・指導力 ・創造力 ・問題発見力 ・状況分析力 ▶経験 ・実績、成果 ・ポジション、職務 ・姿勢、価値観 ・過程、職歴 目標設定 自分が本当にやりたいこと、つまり自分の目標と価値観を明確にすることは重要である。将来における人生設計のためにも、キャリアに対する価値観をはっきりさせたい。これは何が自分にとっていちばん大切かを見つめ直す絶好の機会でもある。 キャリアゴールを設定したら、達成するためのアクションプランを立案し、実行する。たとえば、資格取得、ビジネススクール、勉強会、ネットワークを広げるなど、自分の能力を高め、自らの市場価値を上げることが重要である。 企業が求める人材像 では、企業が求める人材とは具体的にどのようなものなのか。以下にまとめてみよう。 ・前向きな人 ・積極的な人 ・責任感がある人 ・限られた手段を有効に活用できる人 ・成長業界で実績がある人 ・状況判断能力がある人 ・ほかの従業員に自分の「やる気」の波紋を広げ、よい影響を与えられる人 ・仕事を完遂する粘り強さがある人 ・業界に関する知識がある人 ・自ら進んで、効率よく働くことができる人 ・顧客のニーズを理解し、予測することができる人 ・過去の経験ばかりに頼らず、目標を達成するために新しい方法を考案できる人 在米日系企業に限定してみると、日英バイリンガルの人材の採用にあたっては次の事項にも重点を置いている。 ・目的意識を持っている(ビザサポートだけのために求職する人を企業は望んでいない)…

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アメリカの確定申告 タックスリターン

【執筆】 田中会計事務所 公認会計士(米国・日本)/田中 力 ほとんどの方に申告義務 アメリカには、日本のように会社で行われる年末調整で完結する制度がなく、所得を得たほとんどの人が確定申告書を申告する必要がある。 英語では、申告書のことを“Income Tax Return”や、連邦の用紙の番号から、“1040(Ten Forty)”という。 確定申告は連邦、州、地方などの所得税を管轄する税務当局ごとに行わなければならず、働いている場所や住んでいる場所などで地方所得税の申告先が決まるため、注意が必要となる。 連邦や州は、所得額が多くなればなるほど税率が上がる累進課税で、地方は場所にもよるが一律の税率となっていることが多いようだ。 暦年(元旦から大晦日まで)の申告を概ね4月15日までに申告すると考えるとよい。日本は3月15日が期限なので、日本よりも1ヵ月余裕があるということになる。 所得税の払い方 税金を普通に納める方法には、源泉徴収、予定納税、確定納税の主に3つが挙げられる。 「源泉徴収」は、給与の支払いなどのように、支払う側が支払う前に天引きをし、代わりに払っておいてくれる制度で、受け取る側は何もしなくてもよいので便利である。 「予定納税」は、本人が自ら税務当局に所定の税金を払う制度で、各税務当局は、確定納税期限よりも前に少しずつ納めるよう要求をしている。その背景には、所得を得るにしたがって税金を納付せよ、という決まりがあるため。確定納税期限ギリギリまで税金を払わずにいると、場合によっては、予定納税遅延ペナルティーという金利が課せられることがある。連邦の予定納税の支払いの基本的なタイミングは、4月15日、6月15日、9月15日、翌年1月15日となっている。 そして最後の支払い方法は「確定納税」。確定申告書で最終的な税額が計算され、納付すべき金額が決まったら、その最終納税額を支払う方法である。小切手や場合によってはクレジットカードでの支払いが可能となっている。 所得の申告だけではない! 米国財務省は、国外金融資産の報告をアメリカ居住者などに要求している。日本の銀行口座を所持している方は、よほど預金残高が乏しい場合を除き、4月15日までに報告をしなければならないルールになっているのである。この要求は、マネーロンダリングなどの取り引きをモニターするためとされているが、結果的にアメリカ人によるスイスの口座の利息・配当所得などの未申告といった悪質なケースによる多額のペナルティーの徴収に発展している。 必要情報は、銀行名、銀行所在地、支店・口座番号、年間最高残高などであり、赴任前や日本に帰国した際、オンラインバンキングをセットアップしたり、通帳記入を依頼するなどの準備が必要になる。 また、自分が過半数の所有権を有する会社などが持つ国外金融資産も報告の対象となっている。 つまり、本人のコントロールの利く国外金融資産を報告するということである。 この報告は、“FinCen114”や、“FBAR”と呼ばれる。規定上、この報告書を提出しないとかなりのペナルティーが課されることになっている。 さらに、FinCen114と同様の情報を確定申告上も報告する。これは、国外金融資産についての配当・利息などの申告を勧めようとしたものと思われる。 この記事を見て、今まで報告をしていなかったという方がいる場合、過去に遡ってまとめて低廉のペナルティーを払い、自己申告をすることで、違法性を回避する方法もある。いわば、過去6年間にわたって「禊(みそぎ)」をするという制度である。 ソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SS番号)の有無は? 日本からアメリカに来られた方のほとんどがソーシャル・セキュリティー・ナンバーを持っている。しかし、駐在員の奥様やお子様のなかには、場合によってはソーシャル・セキュリティー・ナンバーの申請ができない方もいるはずだ。その場合は、納税者番号(ITIN)を税務当局に申請することができる。単身赴任者の奥様(日本在住)も申請することが可能だ。 納税者番号を取得するメリットは、奥様も申告書で報告できることになり、夫婦合算申告で低い税率の適用などを受けたり、お子様を被扶養者として加えることで標準所得控除や税額控除を受け、かなりの額の節税ができることである。 ITINを申請する方は必ず、申請期間を含む有効期限が十分にあるパスポートが必要となる。アメリカにいる方は、在米の日本大使館・総領事館でCertified Copy of Passportを入手することからはじめる。日本にいる奥様は、日本にある米国大使館・総領事館に予約を取り、入手することとなる。通常ITINの申請(Form W-7)はCertified Copy of Passportや確定申告書とともに書面で行う。数週間後、ITINレターの通知があるので、受け取った通知は大切に保管を。 もし、昔ITINをもらってしばらく使わなかったという方がいたら、その番号は失効しているかもしれず、再申請の必要があるかもしれない。 あなたは、居住者?非居住者? あなたがアメリカの居住者か非居住者かは、重要事項である。 居住者は全世界所得を申告しなければならないが、非居住者は米国源泉所得のみを申告することとなる。しかし非居住者は、米国源泉所得に限定できる反面、税率が高め。居住者なら、標準所得控除が認められたり、夫婦合算が認められたり、税率が低くなるなどのメリットがある。 居住者の定義は、有効なグリーンカードを所持しているか、アメリカの過去3年の滞在期間が相当の日数に及んでいるかのどちらかの判定により認定される。 非居住者とは、居住者以外の方を指す。 下記の「居住者・非居住者の決定手順」は、大まかな判断手順を説明したもの。複雑なケースは専門家に任せることをおすすめする。 確定申告に必要なものは? 居住者と非居住者の判定   必要書類(参考例) ▷W-2 Form(源泉徴収票) ▷Form 1099-INT(利息収入) ▷Form 1099-DIV(配当収入)などの支払調書 ▷保険でカバーされなかった自己負担分の医療費の明細 ▷賃貸所得、株式売買等所得の証拠資料…

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アメリカの退職年金制度

【執筆】 永野・森田米国公認会計士事務所 米国公認会計士/日下 武   アメリカの退職年金制度には公的年金のソーシャルセキュリティーがあるが、それを補うものとして私的年金に加入する場合が多い。 私的年金には大きく分けて、個人年金であるIRA(Individual Retirement Plan)と企業年金であるQualified Planがある。 IRA(個人年金) IRAはもともと企業年金制度に加入できない自営業者や中小企業社員のためのプランで、銀行や証券会社などの金融機関の窓口、もしくはウェブサイトで開設できる。 IRAの代表的なものには、Traditional IRA、Roth IRAがある。 拠出金額 拠出できる金額は、勤労所得かその年の限度額までと制限されている。 勤労所得とは、給料、個人事業所得などのことで、利息や配当などは含まない。 2017年の限度額は、Traditional IRAとRoth IRAを合わせて5,500ドルであるが、50歳以上は6,500ドルまで拠出が可能。 ただし、Roth IRAには拠出金額制限がある。 拠出期間 拠出期間は、その年の1月1日から個人税務申告の提出期限と同じ4月15日(土日と重なる場合は延長される)までである。 Traditional IRA Traditional IRAでは拠出金額を所得から控除することが認められており、拠出している間の税額を減らすことができる。つまり、納税を先延ばしにして拠出することが可能で、Traditional IRAの最大の特徴といえる。この仕組みのことをTax Deferred(納税の先延ばし)という。 ただし引き出し時に課税されるため、その時点での所得税率が高くなると予想される場合はデメリットになる可能性もある。 拠出は最高限度額まで可能であり、拠出資金とその運用から得られる利益の両方を非課税で運用できる。 前述のとおり、Tax Deferred(納税の先延ばし)が認められているが、その条件としてQualified Plan(後述)に加入していないことが挙げられる。 非加入者の場合、所得金額に関係なく、その年の最高限度額(2017年は5,500ドル、50歳以上6,500ドル)の控除が認められる。 一方、加入者の場合は、所得に応じて段階的に控除可能な額が減少する。2017年は、夫婦合算で9万9,000ドルから拠出金控除の減額が始まり、11万9,000ドルで控除の恩恵がなくなる。 引き出しは59.5歳以降に可能となるが、引き出し開始を先延ばしてさらに積み立てることもできる。その場合でも70.5歳までには引き出しを開始しなければならない。 59.5歳になる前に年金を引き出す場合は、通常の課税にくわえて10%の罰金が課せられるため注意すべきである。 ただし、初めて家を購入する場合や、医療費、学費を支払うために早期に引き出す場合は、罰金が免除される場合がある。 Roth IRA Roth IRAはTraditional IRAとは異なり、拠出時に納税する一方、引き出し時は非課税とされる。 Traditional IRAは所得金額に対して拠出制限はない(拠出金控除にはある)が、Roth IRAは所得や個人確定申告のステータスにより、拠出できる金額が制限される。 2017年は、夫婦合算で申告する場合、所得が18万6,000ドル未満までなら最高限度額の5,500 ドルを拠出できるが、18万6,000ドル~19万6,000ドル未満まで段階的に拠出金額が減額され、19万6,000ドル以上になると拠出資格を失うことになる。 引き出し開始の年齢制限はないため、子どもや孫への積み立てとして良い手段にもなる。しかし退職前に引き出す場合は、課税対象となる場合があるので注意が必要。 Qualified Plan(企業年金) Qualified Planとは、アメリカの多くの企業が従業員に対して提供する給付金制度で、今では非常に一般的なものとなった。…

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アメリカで働く

【執筆】 HRMパートナーズ 社長/三ツ木 良太   アメリカで働くうえで知っておいた方がよいことは多い。 日米のビジネス慣習の違いについて理解しておくことで、仕事をスムーズに進めることが可能になり、また最低限の雇用法・労働法・雇用慣習について知っておけば、健全な職場環境を維持できるうえに、小さいと思っていた問題が訴訟を含む大きな問題に発展するリスクから自身と会社を守ることが可能になる。 いずれにしても、「知らなかった」は通用しないということを肝に銘じておくべきだ。ここでは代表的な雇用法・労働法とハラスメント/セクシャルハラスメントについての概要を解説する。 ※詳しくは専門家に確認を 代表的な雇用法・労働法 アメリカには、職場での(厳密には雇用上の決定に際しての)差別を禁止するさまざまな法律が存在する。国の成り立ち自体が移民国家(多民族国家)であり、公平を重んじるアメリカならではといえるが、法律の対象は非常に多岐にわたる。 また、直接的には差別にあたらないとしても、いろいろな側面から労働者を保護する法律も多数存在する。 例えば以下のようなものがある。 Title VII of the Civil Rights Act of 1964 (公民権法第7編) 1950〜1960年代にかけて起こった公民権運動に端を発して1964年に制定された法律。 人種、肌の色、出身国、性別、宗教・信仰をもとに差別をしてはならないという内容。 The Age Discrimination in Employment Act of 1967  (雇用における年齢差別禁止法) 年齢、とくに40歳以上の従業員を雇用差別から保護する法律。 American with Disability Act(アメリカ障がい者法) 障がい者を雇用差別から保護する法律。 また、障がい者に対しては合理的便宜を図る必要があることも規定されている。 The Fair Labor Standards Act of 1938(公正労働基準法) 最低賃金、超過勤務手当て(残業代)、残業代の支払いを免除されるExempt従業員、および最低賃金と残業代を支払わなければならないNon-exempt従業員についての区分が規定されている。 The Equal Pay Act of 1963 (平等賃金法) 同一施設内に勤務する男女が、類似の条件下において、同等のスキル・取り組み・責任を要求される職務を遂行する場合、賃金に差をつけてはならないとする法律。 これら以外にも、妊娠・妊婦保護、軍人の雇用・退役軍人の再雇用保護、国籍による差別禁止を規定する改正移民法、遺伝的特徴による差別を禁止する法律、安全な職場環境について規定する法律、労働組合の結成・団体交渉権・ストライキ実施権利を規定する法律などがある。…