アメリカでの緊急時の対応

火災(Fire)、犯罪(Police)、けが人がいる事故(Ambulance)などの緊急時には「911」をダイヤルし、緊急事態発生の場所と内容を告げる。
発生場所が携帯電話の圏外であっても、緊急電話であればかけられる場合がある。公衆電話ではコイン不要。つながらない場合は、所轄の警察署に連絡を。
「ジャパニーズ・プリーズ」と伝えると、日本語通訳を介して通話できる。

上記以外の用件(騒音・ごみ収集など生活一般)は「311」をダイヤルする。

誤って911にかけてしまったら・・・

緊急時ではないのに子どもがふざけて911にかけてしまった場合でも、決して電話を切らないこと。より深刻な緊急事態がある、とオペレーターに判断されて人が駆けつけることがある。オペレーターに正直に事情を説明すること。

救急車の呼び方

  1. 911をダイヤルする。
  2. 警察のオペ レーターが出たら、「I need an ambulance. (救急車をお願いします)」と言う。電話は救急医療グループに転送される
  3. 指示に従い、電話をかけている本人の名前と電話番号、住所を伝える。
  4. 病人(けが人)の状況を伝える。この場合、難しい英語を使う必要はない。症状によっては救急車が到着するまでの間、電話口で応急処置の指示を受けることもある。なお、病人(けが人)がアレルギー体質の場合や薬を服用しているときは、それらについても伝えること。
  5. 「Please hang up. (電話を切ってください)」と指示されるまで、電話を切らないこと。
  6. すぐに救急隊員を誘導できるように、だれかに家(建物)の前に立っていてもらう。

公営vs民営

救急車には公営と民営があり、公営は911、民営はインターネットで“Private Ambulance Service”で検索すると見つかる。
公営の場合、原則としていちばん近い公立病院に運ばれ、病院を指定することはできない。特定の病院に行きたい場合は民営を利用する。ただし、民営の対象エリアは各会社によって異なる。
救急車は公営、民営ともに有料。料金は車内での応急処置の程度によって異なるが、民営の方がかなり高いことは確かである。
なお、緊急以外で救急車を呼ぶと、罰金の対象となるので気をつけたい。

病気・けが

いざというときに備える

▼主治医(Primary Doctor)を持つ

アメリカではかかりつけの主治医を持つのが一般的。緊急のときは勝手に自分で判断せず、必ず主治医の指示を仰ぐこと。診察時間外や休日でも対応してくれるので、緊急電話番号として主治医の連絡先を控えておくように。

▼最寄りの病院を把握する

万一のときに備えて、普段から最寄りの病院をきちんと把握しておくこと。主治医がいる場合は、主治医が提携している病院なども知っておくとよい。

▼保険の加入

どの病院に行ってもまず、どんな保険に加入しているか聞かれる。保険に入っているか否かによって、治療のカバー範囲や医療費の自己負担額が異なるので、あらかじめ確認しておこう。保険証は常に携帯すること。

▼本人と家族のメディカル・レコード

初めて診察を受けるときは、必ず自分と家族のメディカル・レコード(病歴)について聞かれる。持病や服用している薬の名前、アレルギーや遺伝疾患の有無、子どもの予防接種の記録など、医者に聞かれたときすぐに答えられるように、事前に英語でリストアップしておくとよい。

軽い症状・けがのとき

まず主治医に連絡する。これを忘れると、後で保険会社への請求などがスムーズにいかないこともあるので気をつけたい。電話で指示を仰ぎ、主治医が指定した病院へ行く。主治医を持たない場合や主治医と連絡がとれない場合は、近くの病院のエマージェンシー・ルーム(緊急治療室。通常ERと呼ばれる)へ行く。

ERは24時間開いており、予約なしで緊急時に利用できるが、重体でない限り、長時間待たされることがほとんどである。
また、ERの診察料は高めで、保険のない人はもちろん、保険がある人でも全額カバーされるとは限らないので注意したい。

重傷・急病のとき

一刻を争う場合や身体を動かすのが危険だと思われる場合は、救急車を呼ぶ。同時に、主治医にも連絡する。

異物・毒物を飲み込んだとき

アメリカ毒物管理局
Tel (800) 222-1222(24hrs)

日本製のものを飲み込んだときは、アメリカの毒物管理局ではわからないことが多いので下記に問い合わせる。
化学物質などによって起こる急性中毒について、実際に事故が発生している場合に限定し情報を提供している。

公益財団法人 日本中毒情報センター

▷つくば中毒110番
Tel (029) 852-9999(9:00-21:00 日本時間)

▷大阪中毒110番
Tel (072) 727-2499(24hrs)

犯罪・事件

窃盗・盗難

窃盗や盗難、詐欺に遭ったら、まず所轄の警察署に被害届(Complaint Report)を提出し、ポリスレポート(Police Report)を作成してもらう。ポリスレポートは、盗まれた物品の保険金請求などの際に必要となる。被害額によっては、税金申告の際に控除されることもあるので、レポートのナンバーは忘れずに控えておくこと。

クレジットカードやバンクカードを盗まれた場合は、すぐにカード会社や銀行に連絡し、カードが使えないようにしてもらう。
大手銀行、クレジット会社の連絡先は「アメリカの銀行」
「アメリカのクレジットカード」参照。

犯罪に巻き込まれたとき

すみやかに所轄の警察署に知らせ、事件の詳細や犯人の特徴を伝える。また、日本国大使館・総領事館では緊急時の支援も対応しているので、迷わず相談してみるとよい。

パスポートの紛失

まず所轄の警察署に届け出て、ポリスレポートを作成してもらう。ポリスレポートはパスポート再発給の際に必要となる。
パスポートの紛失・盗難・焼失については、「アメリカでの日本国旅券(パスポート)手続き」参照。

警察官に呼び止められたとき

とにかく慌てず、抵抗しない。警察官に見えるように両手をあげて、指示に従う。英語が聞き取れない場合や状況を理解できない場合は、はっきりと警察官にその旨を伝える。
明らかに自分の過失でない限り、簡単に謝らないこと。もし過失が作られたものである場合は、後で裁判所に申し立てすることができるので、担当警察官の名前とバッジ番号を控えておくようにする。

身の安全を守る

▼基本的な心構え
  • 目立つ行動はしない
  • 行動のパターン化を避ける(同じ時間に同じ道を通るなど)
  • 犯罪が多発する地域や人通りの少ない場所は避ける
  • 夜道をひとり歩きしない
  • 近所の人たちと頻繁に情報交換し、常に用心を怠らない
▼外出先で
  • 現金、クレジットカードは最低限を小分けにして携帯する
  • エレベーターで不審者と同乗しない
  • 深夜、タクシーで帰宅した際は、自分が建物に入るまで運転手に見ていてもらう
▼自宅で
  • 帰りが遅くなるときは、タイマーで照明やラジオがつくようにセットする
  • 鍵を紛失した場合は、すぐに取り替える
  • 郵便受けにはラストネームのみ表示する
  • 長期間留守にする場合、郵便物・新聞などのピックアップを隣人に頼むか、郵便物は郵便局に局留めにしてもらい、新聞は配達を一時止めてもらう

災害・緊急事態

停電

ヒューズが飛んでいないか、ブレーカーが落ちていないかを確かめる。
ブレーカーを元通りにしても復旧しない場合は、大規模停電の可能性があるので、近隣の様子を確かめる。
大規模停電の場合、携帯ラジオで被害状況や修復作業に関するニュースを聞く。
電気が復旧した後は、大きな電力を要する電気機器はすぐに使用しない、冷蔵庫を頻繁に開けないなど、電力を浪費しないように工夫する。
また、ガス漏れや電線切れなどが生じた場合は、最寄りの電力会社に連絡して、すぐに安全点検を行うこと。

竜巻・雪

竜巻や雪が起こりそうな場合は、テレビやラジオの天気予報で注意報や警報が出されるので、注意して視聴しよう。竜巻が発生しそうなときは、地下室や柱が多い建物などに身を置いて竜巻の通過を待つ。車の場合は車外へ出て、できるだけ地面のくぼみを探し、身を伏せて竜巻の通過を待つ。
また、雪になりそうなときは、事前に自宅周辺に雪解け専用の塩をまき、車のタイヤにチェーンを装着する。

火災

自宅で火災が起きた状況を想定して、あらかじめ避難ルートを決めておく。火災報知器の設置・点検、コンセントの点検・掃除、自宅用スプリンクラーの設置など、必要に応じて防災対策をとる。
万一、大規模な火災が生じた場合は、すぐ911に通報。
建物内では姿勢を低くして煙を吸わないようにする。ドアノブは高温になっている可能性があるので決して触れず、ドアの下から煙が出ていないかを確認しながら、安全なルートで避難する。

いざというときに備える

  1. 電話の近くに緊急電話番号(911、最寄りの警察署、消防署など)を控えておく
  2. 家族間の緊急連絡先として、州外の親戚や知人の連絡先を控えておく(災害時は、地域内よりも州外のほうが電話が通じやすい)
  3. 緊急避難キットを用意する
  4. 自宅以外の集合避難場所を決めておく
  5. 人工呼吸や心臓マッサージを覚える
  6. さまざまな災害時にどう対処すべきか、事前に考えておく

知っておくと便利なサイト

外務省海外安全ホームページ
身近な犯罪から国際テロまで、海外における安全対策の情報を提供。
そのほか、海外生活に役立つ最新のスポット情報やイベント情報なども配信している。

総務省消防庁「生活密着情報」

救急車が来るまでの応急手当と救命処置の手引き。丁寧な解説でわかりやすい。

必読!安全対策マニュアル

災害からテロまで、あらゆる緊急時の対処法・関連情報をまとめた安全対策マニュアル。
下記のウェブサイトからダウンロードできる。日本語版は総領事館のウェブサイトから入手できる。

連邦緊急事態管理庁(英語版)

在ニューヨーク日本国領事館 安全対策情報