ポップでダンサブルな音楽と個性的なファッションで人気を博す日本のガールズバンド・CHAI(チャイ)。
「フジロック」「サマーソニック」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」といった日本の代表的な音楽フェスの出演のみならず、近年はアメリカでの活動も盛んでオースティンの「SXSW」、シカゴの「Pitchfork Music Festival」など数々の大型イベントに出演している注目バンドです。
CHAIとの個人的な接点でいうと、ニューヨークの街中で唯一、BGMとして耳にしたことがある邦楽であることと、サンフランシスコの有名レコードショップで「店員イチオシ」としてCDが並んでいたこと。
アメリカの街中で邦楽がかかることや音楽ショップでCDを見かけることは滅多にないので、CHAIの存在感はとにかくすごい。
そんなグローバルに活躍中のCHAIが、昨年発売した3rdアルバム「WINK」を提げて全米ツアーをするということで行ってきました。
ライブが行われたのは、アーティストやクリエイターが多く住むブルックリン・ブシュウィクにあるライブハウス・Elsewhere。入場時はワクチン接種証明書の提示が要されました。
お客さんは、CHAIのテーマカラーであるピンク色を基調にしたファッショナブルな人やバンドTシャツを着たロックファンなど。
お洒落さんがたくさんで、日本の方々も見かけました。
CHAIの4人が登場するや否や、拍手と歓声で会場は大盛り上がり!
トークや仕草はゆるフワ系で可愛らしい反面、激しいギタープレイやアーバンな電子音、ゴリゴリのロックも鳴らしちゃうそのギャップがかっこよくて。
思わず踊りたくなるクラブミュージック「Nobody Knows We Are Fun」や、日本の音楽ジャンルとして確立し始めている“シティ・ポップ”の重鎮・竹内まりやのカバー曲「Plastic Love」はアーバンな東京ライフを彷彿させ、スペインのガールズバンドとコラボした「UNITED GIRLS ROCK’N’ROLL CLUB」は英語・スペイン語・日本語がMIXの歌詞で国際色の豊かさが垣間見られます。チップチューン「PING PONG! Feat.YMCK」もあって、日本のエッセンスが自然に音楽に溶け込んでいるのも楽しいですね。
CHAIの魅力の一つはユニークな歌詞。
ケーキ、ドーナツ、チョコレートなど可愛らしいワードが散りばめられています。“からあげ”をホットな若者たちの恋愛にたとえたり、“ケーキ(=顔に化粧)がtoo muchであなたの顔が見えないわ”と歌ったり…
日本語の表現を英語に変換するって結構難しいのです。直訳だとおかしな表現になってしまったり、文のテンションに差が生じることも多くて。そんな中で、全世界共通である“食べ物”というワードチョイスとユーモア溢れるCHAIの発想は、海外で受け入れられる理由の一つだと思います。
アンコールで披露した「N.E.O.」は私とCHAIとの出会いの一曲。
“コンプレックスはアートなり”がテーマのこの曲は、どんなルックスであれそのままの自分を愛せよ、と歌っています。
こうしたCHAIの音楽性を、The New York Times誌は“可愛らしさとジェンダー、そしてロックを日本らしいアイデアで切り取った4人組”、The New Yorker誌は“グルービーでフレンドリーな音を奏でるバンド”と評価しています。
終始ニコやかな表情でハッピーな雰囲気漂う彼女たちのライブは、“まぁ、なんとかなるか!”と日々の悩みやモヤモヤを吹き飛ばすパワーがあるのです。
帰りに買おうと思っていたグッズたちは終演後には完売で買えず…大人気です。
帰路ではライブの余韻に浸って“CHAIダヨ〜”とライブ中のトークを真似して叫びまくるファンに遭遇。
日本の音楽シーンの盛り上がりが感じられる素敵な一夜でした。
■CHAI
https://chai-band.com/global/
■Elsewhere
599 Johnson Ave, Brooklyn, NY 11237
https://www.elsewherebrooklyn.com/
【執筆】編集部 Megumi
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