「ニューヨークは今みんなコロナで大変だから」と家賃を値下げしてくれた大家さん【編集部リレーコラム・5月6日】

外出規制が始まってから1ヶ月以上が経ちました。便利帳編集部員もみんな在宅勤務をしています。
大多数の業界が打撃を受け、多くの人が大変な局面に立たされていると思います。
そんな中でも、心に余裕を持って人に優しくできる、気遣いができる人は素敵ですよね。

今日は編集部員キャシーがコロナ禍で人の優しさに触れ、ほっこりとした気持ちになったエピソードをご紹介します。

私は今、マンハッタンのお隣、クイーンズ区のアストリアで2ベッドルームのアパートの1部屋を借りています。ニューヨークは家賃が高いため、このようにルームシェアをしている人もたくさんいます。大家さんのカップル(日本人と欧米人)がもう1つの部屋に住んでいます。

アストリアにある住宅街の様子

部屋はキッチンとバスルームを挟んで対極にあるので普段あまり会うこともなくプライバシーが保て、サイズも広くて陽当たりが良いので気に入っており、1年弱住んでいます。

4月末の家賃支払い日、散歩に行く前に靴箱の上に家賃を置いて、その旨を大家さんにテキストして伝えました。すると、「今はみんなコロナで大変な時期だから、今月は割引します。少しお金を戻しておきました」との返事が。

部屋に戻るとドアに挟まっていた封筒の中に、200ドルが入っていました。

もともと私が払っている家賃は安くないとは言え、それでも自分たちのビジネスのことだけを考えず、思い遣ってくれたことに感動しました。

外出規制が始まってから大家さんは、食料が足りなければ私たちの買いだめしたお米を使ってどうぞ、窓際で育てているネギも使ってどうぞと言ってくれたり、一時期品薄になったハンドソープもくれたりして、本当に良い人たちに恵まれたなと思います。

大家さんが窓際で育てているネギ

 

実は引っ越しを予定していたので、良くしてくれたがゆえにそれを言い出しづらくはなってしまいましたが・・・。

私も彼らを見習って、こんな時だからこそ、心に余裕を持って人に優しく、温かく接していきたいと思った出来事でした。

余談ですが、コロナの影響でニューヨークを離れた人はたくさん居ます。ニューヨーク行きを止めた人も多いはず。人が出ても入ってこない今、不動産業界も相当な打撃を受けていると聞きます。賃貸物件のサイトを見ると、賃料を下げたり、ブローカー手数料を無料にしたりしている物件が多く見られます。

一方で、ニューヨークの住民は自宅に籠もる日々を経験して、住環境をもっと良くしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。

これからはもっと在宅勤務が普及していくはずです。アメリカの会社には以前から週1の在宅勤務を行っているところや、ポジションや雇用期間の長さによって週2日、3日と自宅勤務の日数を増やしていけるようなところもあります。

今後は通勤に便利な場所に住むよりも、少し会社から遠くても仕事や運動をするスペースを十分に確保できる、バルコニーや屋上があって外の空気を吸えるなど、1日中家に居ても快適に過ごせる場所に移り住む人が増えてくるのではないでしょうか。

コロナはニューヨーカーの住む場所に対する価値観も変えていくかもしれないですね。

イーストリバー沿いのアストリアから見たマンハッタンのスカイライン

 

【取材/執筆】
ニューヨーク便利帳
編集部
キャシー
ニューヨーク在住歴:約2年