マンハッタンのAgnes Varis Performing Arts Centerで12月3日〜7日までの5日間にわたり、Samurai Sword Soul(SSS)の20周年記念公演 「Don’t Cry My Friend」が開催されました。
サムライ劇団「Samurai Sword Soul」は、ニューヨークで活動を開始してから20周年を迎えました。脇流殺陣、誠道空手、剣道を基にした独自の“Samurai Sword Soul Style”で、ニューヨークの観客を魅了し続けています。
出演者たちはそれぞれ、アメリカで俳優や声優として活動してきた面々。サムライ劇を通して、自らの強い意志と日本人としての誇りである武士道の精神を、観客に力強く伝えています。
ストーリー
今回の公演では、日本で親しまれてきたお伽話「浦島太郎」と児童文学「泣いた赤鬼」に着想を得たオリジナルストーリーが展開され、アメリカで生き抜くメンバーの経験や葛藤が、随所に織り込まれていました。
赤鬼は純粋で優しい心を持ち、人間の世界へ戻るため、囚われたサムライを助けようとします。青鬼は人間界へ行くことに反対しながらも、陰ながら赤鬼を応援し、見守ります。その関係性を通して、真実の友情とは何か、正義や悪とは何かを問いかけます。アメリカのビザ問題を絡め、「人間(Human)のHビザ」と「鬼(Oni)のOビザ」をネタにした場面では、会場に笑いが広がりました。
そして最大の見せどころが、殺陣のシーンです。三味線とドラムの生演奏が剣の動きと見事に呼応し、音と演技が一体に。まるで日本の時代劇の世界に入り込んだかのような、圧倒的な臨場感が観客を包み込みました。

最初の公演を終えて、拍手を浴びるSSSのメンバー
SSSについて
本公演の監督・主演を務めるYoshi Amanoさんは、日本人の俳優やアーティストがアメリカで活躍できる場を少しでも広げたいという思いでSSSを創立。
「渡米して35年。日本人としてアメリカで生きることは決して容易ではなく、何度も帰国を考えました。それでも意地と信念を貫き、ここまで歩んできました。今回の公演では、多様な価値観が交差する社会で自分の選択をどう正解にしていくかという問いを、観客の皆さんに届けたいと思っています」と語っていました。

姫の役を演じた、 SSSのムードメーカーShihoさん
運営の中心人物であるShihoさんは少ないメンバーと時間の中で、この公演を開催することは決して簡単ではなかったと語りました。資金調達にも積極的に奔走し、公演開催に向けて力を尽くしたShihoさんもアメリカでの生活は決して平坦ではなかったと話していましたが、そうした苦労を感じさせることなく、公演後には明るい笑顔で観客との交流を楽しむ姿が印象的でした。
多様な価値観が交差するニューヨークで、日本の精神と演劇を融合させてきたSamurai Sword Soul。20年という歩みを重ねたいまも、その表現は進化を続けています。ニューヨークから世界へ―彼らの挑戦がどこへ向かうのか、今後の活動に注目したいです。
出演者
Yoshi Amano
Masaya Okubo
Saori Goda
George Basley
Philippe Garcesto
Shiho Matsuoka
Natalie Thomas
Micro Fukuyama
Tetsu Ishida
Maddie Webber
Koji Nishiyama
Saho Ito
Mariko Shibata音楽
Hirotoshi Umeda
Seiichiro Koizumi
公式ホームページはこちらから↓
Samurai Sword Sloul
https://www.samuraiswordsoul.com/

