2019年5月にオープン予定の「新・自由の女神博物館」。
著名企業が出資する大プロジェクトであり、現在ニューヨークで注目が集まっている。
オープンが近づく2018年9月、プレス関係者へのお披露目会が行われたので、その様子をレポートします。
NPO団体 自由の女神&エリス島基金
CEO
スティーブン・ブリガンティ氏
建設費用はおよそ1億ドル、資金は寄付で調達
2016年に自由の女神像が設立130周年を迎えたことを機に、リバティー島に自由の女神博物館を建設するプロジェクトが立ち上がった。
約3年の時を経て、2019年5月にオープンする予定だ(2018年9月時点)。
同島を管理するNPO団体、自由の女神&エリス島基金が運営し、建築デザインはFX CollaborativeとESI Designが、建設はPhelps Constructionが手がけている。
建設にかかる費用はおよそ1億ドルと言われており、ニューヨークのマイケル・ブルームバーグ前市長やファッションデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ氏のほか、シャネル、コカコーラ社、ウォルトディズニー社など名だたる企業が出資。
一般にも出資を募っており、1986年の女神像創設時に建設費用寄付者の名前を女神像の土台に記したのと同じように、18.80ドル以上の寄付をした人は公式ウェブサイトなどに名前が掲載される。
9.11以降、来場者の8割が女神像内部の展示を観られない現状を打破
同博物館建設に踏み切った背景には、2001年の米同時多発テロの影響がある。
以降、警備が厳重になり女神像の内部見学には大幅な人数制限がかけられるようになった。それにより、同島を訪れる年間延べ430万人のうち8割もの来場者が、女神像の内部に入りそこにある資料館を訪れることができないのが現状だ。
それでは女神像の歴史や意義を広く伝えていくことができないと、内部に入らなくても誰もが訪れられるこの博物館を作る計画が始まった。
建築物としてもこだわりがあり、島内の自然を守り持続可能性を追求したデザインを採用する。屋上には緑が生い茂り、ガラス張りの壁は鳥が誤ってぶつからないよう特別なガラスを使用。
また、2012年のハリケーン・サンディーによる被害を受け、過去500年に起こったレベルの洪水や、ハリケーンによる強風にも耐えられるように造られている。
女神像の歴史や影響力を伝え“自由”の意味を考えさせる
同博物館では女神像の歴史やその影響力について、デジタル技術を駆使した近代的な手法で伝える。
「あなたにとっての自由とは」と来場者に考えさせるのも目的のひとつだ。
3つのギャラリーのうちのひとつ「イマーシブシアター(体験型劇場)」では、観客を囲む空間に女神像が建てられた1886年から現在に至るまでの歴史を振り返る映像が映し出される。そして女神像の内側を再現し、そこを舞い上がっていくようなバーチャル体験もできるという。
屋上ではマンハッタンのスカイラインや女神像を眺めながらくつろげ、島内のガーデンパビリオンとなることを目指している。
リバティー島、エリス島行きのフェリーのチケットを購入すれば入場は無料。
このミュージアムが完成すれば、リバティー島がより活性化されるだろう。
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