元読売テレビアナウンサー清水健さん「初のニューヨーク講演」大盛況に終わる

清水健講演会 想い〜パパと一緒に

清水健講演会 想い〜パパと一緒に

こんにちは、編集部の板橋です。

10月25日、元読売テレビアナウンサーの清水健さんが自身初の著書『112日間のママ』を引っさげて、ニューヨーク初の講演会を行うということで、お話を聞きに行ってきました。

今回は「想い〜パパと一緒に」と題して、伝えたい想いとは何か、なぜニューヨークなのか、などなど、2時間の講演会はノンストップ、盛りだくさんの内容で、会場を涙と笑顔でいっぱいに満たしました。

清水健講演会 想い〜パパと一緒に

苦悩と「想い」

当時、読売テレビのアナウンサーとして活躍していた清水さんは、2013年5月に担当スタイリストだった奈緒さんとご結婚、翌年10月に長男が誕生しました。奈緒さんの乳がんが発覚したのは、長男を妊娠中のことだったそうです。3人で生きるという決断してから一年を待たず、出産3ヵ月後の2015年2月に妻の奈緒さんは享年29歳にして逝去されます。

それから月日は流れ、息子と過ごすなかで深く感じる日常のありがたみ。幸福感。大切な人がそばにいるということの奇跡。一時は恨んだ自分の人生や、数々の苦悩と葛藤した末に生まれた、その「想い」を誰かを伝えたいと思うようになったそうです。

スライドの写真は奈緒さんの笑顔に溢れる

伝えるという使命

清水さんが講演会を通じて、より多くの人に伝えたいこと、それは「大切な人のためにできること」。
昨年からこの一年半の間に日本全国150回以上もの講演会を敢行し、病に苦しむ人だけでなく、日々さまざまなことに向き合って闘う人々と直接に会って話をしてきたそうです。スクリーンに映し出される奈緒さんの笑顔を背にして、時折顔を歪ませながら話す清水さんの姿や言葉に、会場からはすすり泣く声も。

「すでに頑張っている人には酷かもしれないけれど、僕は敢えて、一緒に頑張りましょうと言いたい」と力強く語る清水さんの目にも光るものが。シングルファザーとして家庭を支えながら講演活動をするなかで、メディアにはさまざまな憶測が飛び交うこともあったそうです。

それでも「かっこ悪くても、情けなくても、これからも声を張り上げていきたい」と、清水さんは言います。

時折顔を歪めながらも、胸の内を語る

時折顔を歪めながらも、胸の内を語る

訪米のきっかけ

清水さんが初めてニューヨークを訪れたのは、今年4月のこと。
書画家としてニューヨークを拠点に活動している友人の田中太山さんに誘われ、当時2歳の息子と母を連れてアメリカ、ニューヨークの地に足を踏み入れました。

自分のことを全く知らない土地で、道行く人はまるで他人に無関心かのように歩いている姿を見て、「ここなら、失敗も成功もなく、ゼロから何かを始められるかもしれない」と直感したそうです。敢えて日本の講演会と内容を変えずにその「想い」を発信することを決意し、その後、田中さんを通して日本クラブでの講演会の開催が決まりました。

使命の先に見えるもの

活動を続けていると、ときに「そんなに自分を苦しめてどうする」と心配の声を寄せられることもあるそうです。清水さんは「ありがたい」と笑顔で語る一方、「ゴールは見えていないし、自分がやっていることにどんな意味があるのかは分からない」といいます。

「ただ、どんなに辛いときにも、妻はいつも笑っていたし、『大丈夫』という妻の言葉に何度も支えられてきました。だから僕も、今何かに向き合って頑張っている人に向けて、笑顔で『大丈夫』と言いたいです。それが今の僕の答えです」。
まっすぐな表現からは清水さんの人柄と純粋な思いが伝わり、言葉からは未来への大きな希望や期待も感じられました。

どんな時も笑顔で夫を支えてきた妻の奈緒さん

どんな時も笑顔で夫を支えてきた妻の奈緒さん

一般社団法人 清水健基金

奈緒さんとの別れから約一年後、2016年4月に設立した一般社団法人清水健基金では、これまでに150回以上の講演会を開催してきました。講演会で得られた収益は、入院施設の充実、がん撲滅や難病対策に取り組む団体や個人に寄付されます。
「『想い』は触れることも、見ることもできないけれど」と語る清水さんの誠心熱意によって、その想いは少しずつ形になっています。

2016年2月に発売された自身初の著書である『112日間のママ』は、発売一ヵ月で異例の10万部を記録しました。
同書は、今まさに病と闘う人や、自分自身と向き合う人に向けて、自分のために、大切な人のために、今できることは何かを気づかせてくれる一冊です。

また、シングルファザーとして子育てをするなかで「ママが主役の本はたくさんあるけれど、パパが登場する本が少ない」と気が付き、友人の田中さんに相談したことがきっかけで生まれた絵本『サンサン仮面』。
親子の絆が温かいタッチのイラストで描かれ、子どもと一緒に楽しめる同書は、清水健基金によって制作され、販売収益は同基金に寄付されます。

清水さんが「心友」と慕う、書画家の田中太山さん

清水さんが「心友」と慕う、書画家の田中太山さん

ニューヨーク初の開催となった今回の講演会は、会場を涙と笑い声で満たし、最後は拍手喝采で、大盛況のうちに幕を下ろしました。

今回、お話を聞かせていただいて、関西弁で明るくお話する清水さんの人柄や話術もさることながら、奈緒さんと息子さんへの深い愛情を感じて、私自身もとても幸せな気持ちになりました。また、アナウンサー時代から変わらず、伝えるという役割を全うする姿にも、強く心を打たれました。

同時に、たくさんのエネルギーを頂き、私も自分の想いを大切に、そして家族に改めて感謝の気持ちを伝えようと思いました。次回の開催も楽しみにしています。

初のニューヨーク講演を終え、安堵の表情をみせる清水さん

初のニューヨーク講演を終え、安堵の表情をみせる清水さん

プロフィール
清水 健(しみず けん)

1976年大阪府生まれ。元読売テレビのアナウンサー。
2001年入社後「どっちの料理ショー」など、バラエティー番組を中心に出演、2009年以降は関西の番組でメインキャストなどを務めた。現在は一般社団法人清水健基金の代表理事。2013年に結婚、長男を妊娠中の妻に乳がん(トリプルネガティブ)が見つかる。出産後4ヵ月足らずで、妻の奈緒さんは逝去。妻との出会いから乳がんとの戦いの日々を記録した『112日間のママ』を出版。同書の出版印税を基に、難病に苦しむ患者をサポートする団体や個人への事業を助成する目的で、2016年に一般社団法人清水健基金を創設。2017年に読売テレビを退社。現在は講演活動と執筆活動を行う。