Japan Business Systems Technology
1899 Western way, Suite 320, Torrance, CA 90501
Tel (310) 328-7200
本田技術研究所、日本テレビ放送網を経て2018年8月日本ビジネスシステムズに入社、2019年1月より現職。本田技術研究所では新車開発をサポートするITシステム全般の企画・開発・運用、システムの海外展開、海外ベンダーとの共同開発を担当。日本テレビではテレビ局特有のシステムから一般的な情報システムまでを幅広く担当、2006年にIT子会社を設立し、社長としてグループ全体のIT戦略立案を実行した。
ITソリューションを日系企業にワンストップで提供する
Japan Business Systems Technology(JBS USA)は、日系企業に向けてオフィスや工場に欠かせないITシステムインテグレーションサービスを提供。2019年1月から社長を務める城信行氏に、業界のトレンドと事業戦略について聞いた。
ー事業内容について教えて下さい。
IT ソリューションの導入、保守、運用がメインです。クライアントは日系企業で、業種はさまざま。日本から進出してきた企業のIT をお任せいただくことが多いです。進出の初期段階から相談をいただいて、既存のものではなく、その企業に合わせたシステムを一から開発する、スクラッチ開発も行っています。また日本では、1 社のみ選ばれる「マイクロソフトジャパン・ ベスト・パートナー・オブ・ザ・イヤー」に、2013 年から 7 年連続で選ばれており、ゴールドパートナーに認定されています。このように日本でパートナー企業とし ての地位を築いているので、アメリカでもマイクロソフト社と連携してビジネスを拡大できる体制が整っています。
ー特に力を入れているサービスとは。
ERP(企業資源計画)を中心とした業務系ソリューションに力を入れています。ERP は、マイクロソフト社のDynamicsFO、Dynamics BC といった最新のクラウドERP を中心に提供。ERP と連携するシステム、BI(Business Intelligence)、RPA(Robotic Process Automation)、BPM(BusinessProcess Management)も提供しています。また、弊社には業務を理解した上でERP の導入ができるコンサルタントやエンジニアがいることが強みで、その人材育成にも力を入れています。新規商材を発掘、開発するチームを立ち上げ、BI、RPA、BPM、AI といった新しい技術を事業開発できる体制ができています。
ーなぜERP に力をいれているのでしょう。
クラウドERP はその柔軟性と他システムとの連携ができるという点から、今後大きく伸びる市場です。ERP と連携する各アプリケーションも様々なものが市場に出てきています。
ークライアントはどのエリアに多いですか。
西海岸に本社があることから、西海岸が多いですが、南部や中西部のお客様もいらっしゃいますし、ニューヨークに常駐している社員もいます。南部や中西部は工場や事務所を新たに作る製造業をはじめ、業種を問わず日系企業にサービスを提供しています。
トーランスにあるアメリカ本社が入るビル
ー日系企業が貴社にIT システムを依頼するメリットは。
工事やキャリアは現地の会社を利用することになり、そのコーディネートや実際のシステム導入を我々が行っています。企業の担当者が、それぞれ現地の業者を手配するのは大変ですし、またアメリカでは工事を頼んでもその通りできないなど、いろいろな問題が起きる。その管理も含めて我々がワンストップで請け負っています。さらに、日本語で対応していますので、ただでさえよく分からないIT のことを英語でやり取りする必要がなくなります。IT 無しでは会社が回らないこのご時世、日本語対応でIT インフラ整備を一括して任せられるサービスは、非常に喜ばれています。特にIT 部門を持たない会社は、我々が会社のIT 部門を代行・支援をしています。
ー社長に就任されて変革したことは。
今までは日本に本社がある海外現地法人というよりも、アメリカは独自で事業を行っていました。2019 年1 月に私が社長に就任した際、JBS USA の存在意義を再定義することからスタート。日本に本社があるというのが、他に多くある日系同業他社とは違う強みなので、そこを生かして行く方向に舵を取りました。日本の本社と協力しながら、もっと日本のリソースを活用し、逆にアメリカの情報を日本に還元するなど、本社とのパイプを強化しようという試みです。そのために、2019 年11月に駐在員を計4 名、営業1 名技術者3 名を増やしました。駐在員を増やすことで、日本の社員のキャリアパスとしても、アメリカでの経験を生かすことができます。日本とアメリカでシナジー(相乗効果)をつくって行きたいです。また我々のビジネスは労働集約型で、人が最も重要です。そのため、マネージメントやオペレーションの見直しを行っています。会社や部門の毎年の目標を立て、個人の目標に落とし込んでいく。そういった組織の立て直しも行っています。
ー現地採用は日本人が多いのでしょうか。
これまでは基本的に日本語と英語のバイリンガル人材を採用していたのですが、現在は日本語を喋れなくても優秀な現地のエンジニアを積極的に採用していこうと考えています。2020 年の2 月には、初めて日本語が喋れないアメリカ人エンジニアを採用しました。これは1997 年以降、初めての試みです。その理由としては、バイリンガルに絞ってしまうと人材が限られるので、採用が難しいという点が挙げられます。さらに、アメリカではIT エンジニアは転職してキャリアを積み上げていくという傾向が特に強いため、採用が成功しても長期的に働いてもらえる保証はありません。ですから、バイリンガルにとらわれずに、日本語バイリンガルの社員とチームを組んでいける人物であれば良いと考えたのです。
ー自身の経歴について教えて下さい。
前々職はホンダの研究所でIT を担当していました。それから日本テレビに転職し、そこでIT 子会社を立ち上げて、社長に就任。その子会社で、JBS がパートナー企業となり、顧客側としてJBS と関わっていました。そして2018 年、日本テレビを辞めるタイミングでJBS の社長から、「アメリカの事業をやってくれないか」という話をいただき、ずっとお世話になっていたので、恩返しをしたいという思いもあり引き受けました。私は2019 年で還暦。もう若くないと一瞬迷いましたが、思い切りました。
ー今後の展望をお聞かせ下さい。
事業ビジョンとしては、まだリーチしきれていない日系企業の他、日系企業以外へのアプローチを掲げています。なかなかハードルが高く、何かに特化した付加価値がないと、すでにコネクションがある米系企業などに負けてしまいます。まだおぼろげなビジョンの段階ですが、将来的に的を絞ってやっていきたい思っています。また我々は労働集約型のビジネスなので、弾力的な労働力を常に抱えておかなければいけません。プロジェクトマネージメントとコアな技術を我々のエンジニアが担当し、実際に手を動かすところや力仕事は、外注するなどして事業を拡大していくことを考えています。
ー最後に読者にメッセージを。
ワンストップでIT に関することをお引き受けできるのが我々の強みなので、これからアメリカに進出される日系企業の方は、是非JBS という会社を覚えておいていただければと思います。日本でJBS をご存知のお客様は、アメリカにもありますので、機会がございましたらぜひご相談ください。
Interviewer: Hisashi Abe
Photographer: Tacma Dan
Editor: Kaori Kemmizaki
2020年2月13日取材
本誌掲載
ご意見箱フォーム