編集部が行く!世界最大のアートの祭典「アートエキスポ・ニューヨーク」

ニューヨーク便利帳
編集部
小林 可奈 
ニューヨーク在住歴:1年

こんにちは、編集部の小林です。

日本では桜も散って、行楽日和のゴールデンウィークを迎えるというのに、まだまだダウンジャケットが手離せないニューヨーク。春といっても寒い日が続きます。
こんな日は、あったかい屋内で、大好きなアートを楽しむに限りますね。

今回はArtexpo NEW YORKのTrade Preview Partyにご招待いただいたので、その様子をレポートしたいと思います!

世界最大のアートの祭典 Artexpo NEW YORK

1978年の開催以来、今年で40周年を迎えるアートの祭典「アートエキスポ・ニューヨーク(Artexpo NEW YORK)」。
今もっともホットなアーティストを世界中から招き、その数なんと400以上。
この世界最大のアートフェアでは、ディーラーからバイヤー、ギャラリーのオーナー、デザイナーを含め、毎年3万5,000人以上のアートフリークが訪れます。

最先端のアート発信地であるマンハッタンはミッドタウン・ウエストのPier 94にて、4月18日〜22日まで4日間の限定開催です。

Artexpo NEW YORK

世界のアートシーンを牽引するステージとしてその名を知られるアート・エキスポ・ニューヨークで、普段は日本で活躍されているアーティスト3名にお話を伺う機会をいただきました。

人形作家 IWACO and Satoko Shinke

ところ狭しと並ぶアーティストのブースの中、ひときわ明るく華やかなブースを発見。
人形作家のIWACOさんと新家智子さん、お二人合同のギャラリーです。

左から人形作家のIWACOさんと新家智子さん

お二人が出会ったのは5年ほど前のこと。コンクールなど受賞の場で、何度も顔を合わせるうちに仲良くなったというお二人。

いつかはニューヨークで、と夢を語る人は多いが、実際にその夢を実現させることができる人はそう多くない。

ニューヨークの夢への実現の第一歩となったのは、IWACOさんが新家さんに送った一通のメール。
そのメールのタイトルは「夢のニューヨーク」。もし本気なら、一緒にニューヨーク行きを実現させませんか?
新家さんの返信メールのタイトルは、「ニューヨークの夢」だったという。

想創作家 IWACO

IWACOさんの生み出す人形は、いろいろな素材と色が複雑に組み合わさっています。
人間の心にあるのはただ一つのシンプルなものではなく、複雑にいろいろな感情が絡み合っているもの。その心の動きを、カラフルな躍動感溢れる人形で表現しています。
今にも動き出しそうな作品たちは、見ていて楽しいデザインばかり。IWACOさんとお話ししたときのように、自然と暖かい気持ちにさせてくれます。

ポジティブなエネルギーに溢れたIWACOさん

ニューヨークがずっと目標だった、と目を輝かせてお話してくださったIWACOさん。
「ただかわいいだけではない、人形の枠にはまらない、見た人の心が動くようなものが作りたかったんです。」

想創作家 IWACO

1992年に創作人形を開始。
京都にアトリエ「宙ノ手」をオープン後、東京で毎年個展を開催している。
 
 

人形作家 Satoko Shinke

動いているような、会話をしているような気がして、時が止まったような感覚を与えてくれる作品を制作しているのは、同じく人形作家の新家智子さんです。
ずっと見つめていると、どんどん頭の中にストーリーが膨らんでいくような、不思議な気持ちになる作品に心を奪われます。

女性らしい柔らかい雰囲気をお持ちの新家さん

人形を指して「この子たち」と呼び、「モノ」ではなく「ヒト」として扱う新家さん。
ロシアの展覧会では、「よくこの子を連れてきてくれたね、ありがとう」という言葉をもらったことがあります、と話してくださいました。
「頭の中にできあがったイメージを形にしていく作業は、苦しい時もありますがとても楽しい時間です。」

新家智子 Satoko shinke

和歌山県生まれ。大阪芸大グラフィック学科卒・デザイン会社を経て、作品を制作し始める。
数々の賞を受賞し、日本やニューヨークでは個展を、ロシアとドイツでは著名な展覧会に参加している。

書道家 鍛治山孝

引き続き歩いていくと人だかりが見えたので、なんだなんだ?と近づいてみると、なんと運の良いことに、書道家の鍛治山さんの書道パフォーマンスを拝見することができました。

一本の筆に想いを託して。迷いのない力強い筆の進みです。

今回の展示はすべて「愛」という文字。最古の漢字である甲骨文字から現代まで、年代によって形を変える「愛」の文字を書道で表現しているそうです。

尊敬していらっしゃるという山本空外氏の哲学の影響を受け、鍛治山さんの作品はできあがっていきます。

40年間愛用している筆たち。それぞれの筆が持つ癖をすべて把握しているほど愛着がある。
筆も硯も、使用後は必ず自分の手で洗うそう。

鍛治山さんは、とてもパワフルで笑顔が素敵な方。力強いお言葉をたくさんいただきました。
「日本とニューヨークで、見ている方の反応は違いますね。ニューヨークのお客様は非常に端的。キャリアは関係なく、その場の感覚で良いものか悪いものかを判断してくれる」と語ります。

鍛治山孝 Takashi Kajiyama

1960年広島生まれ。
生まれ故郷の広島を中心に、ニューヨークやロサンゼルス、ブラジル、中国で個展を開く。
 

 
ニューヨークという大舞台でお会いできた3名のアーティストは本当にキラキラと輝いていて、お話できたのはわずかな時間でしたが、私もたくさんのパワーをいただくことができました。
貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました!
これからも、日本、そして世界でのご活躍を楽しみにしております。

取材協力

アートレイツ
海外での展示会を通じ、日本のアーティストが世界で活躍するために必要な支援を提供している。

Photographer ©Hitomi Homma