【執筆】
Starts New York Realty, LLC
上杉 暢 (Uesugi Itaru)
295 Madison Avenue, Suite 925, New York, NY 10017
☎ (212) 599-7697 Email: otoiawase@startsnewyork.com
https://www.startsnewyork.com
ニューヨークへの赴任や移住は、多くの方にとって魅力的で刺激に満ちた経験です。とはいえ、新しい生活を始めるにあたり、まず直面する大きな課題が「住まい探し」。日本とは異なる不動産慣習や契約ルールに戸惑う方も少なくありません。
本記事は、ニューヨークで20年以上にわたり日系駐在員の住まい探しをサポートしてきた スターツニューヨークリアルティが監修しています。これまでの経験をもとに、ニューヨークの賃貸住宅事情を物件タイプ・エリア選び・契約の流れに分けて整理し、赴任前の情報収集や新生活の準備に役立つポイントをわかりやすく解説します。駐在員ご本人はもちろん、ご家族や企業の人事担当者の方にも安心してご活用いただける内容です。
ニューヨーク賃貸市場の最新動向
まずはニューヨークの賃貸市場の全体像を把握しましょう。ニューヨーク市は、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つの行政区から成り、東京23区とほぼ同じ規模の人口(約850万人)を有しています。その多様な行政区ごとに特色があり、物件タイプや価格帯が幅広いのが特徴です。

空室率と住宅供給の厳しさ

ニューヨーク市は世界有数の国際都市でありながら、住宅供給が需要に追いつかず、慢性的な不足状態にあります。2024年の市調査では、賃貸住宅の空室率はわずか 1.4%。これは1960年代以降で最低水準であり、家を探す側にとっては極めて厳しい市場環境を意味します。
家賃も上昇が続いており、2025年時点でマンハッタンのワンベッドルームは平均 $4,600~$6,300、年間の上昇率は 5〜9% 程度と、インフレ傾向が続いています。
ニューヨーク市長は「10年間で50万戸の住宅供給」を掲げていますが、実際に確定しているのは約95,000戸のみで、ほとんどは計画段階にあります。供給不足が解消されるまでには、まだ長い時間がかかると見込まれています。
このような状況下では、ニューヨークでの住まい探しにおいて 交渉力やタイミング、そして迅速な意思決定が何よりも重要です。必要書類を事前に整え、条件に柔軟性を持たせることで、限られた選択肢の中でも理想に近い住まいを確保できる可能性が高まります。
エリア別に見るニューヨークの家賃相場
ニューヨーク市内でもエリアごとに相場感は大きく異なります。代表的な3エリア(マンハッタン・ブルックリン・クイーンズ)の家賃相場を整理すると、次のような傾向が見られます。

多少の幅はあるものの、やはり中心地であるマンハッタンは最も高額で、物件の広さも限られるケースが多いのが実情です。一方で、ブルックリンやクイーンズは比較的手の届きやすい価格帯の物件が残っており、ライフスタイルや優先する条件によって住み分けが進んでいます。
ニューヨークの主要な住宅タイプを理解する
ニューヨークには多様な住宅タイプが存在しますが、初めて住む方や駐在員の方にとって、特徴や契約上の注意点を理解しておくことが大切です。ここでは代表的な4つのタイプをご紹介します。
・レンタルアパートメント(Rental Unit)
最も一般的な賃貸形態で、建物全体が賃貸用として管理会社により運営されています。契約手続きは比較的シンプルで、早ければ1~2週間ほどで入居可能です。ドアマン、ジム、ラウンジといったアメニティが整っている物件も多く、ほとんどの駐在員の方がお住まいの住宅タイプです。
・コンドミニアム(Condominium / Condo)
分譲マンションの一室をオーナーから借りる形です。高級志向の物件も多く、選択肢の幅が広いのが魅力。ただし、米国のクレジットスコアや収入証明を求められることが多く、手続きに時間がかかる傾向があります。
・コーポラティブ(Co-op)
建物を法人が所有し、居住者は株式を購入して住む形態。ニューヨークに非常に多いのですが、賃貸の場合は特に審査が厳しく、海外からの駐在員にとっては入居が難しいケースもあります。承認手続きに1か月以上を要することが一般的です。
・タウンハウス(Townhouse)
戸建てに近い形式で複数階を専有できるのが特徴。間取りは広く、 4~5ベッドルームを備えた物件が多いため、大家族や長期滞在者向けです。物件数は限られており、市場にはあまり出回りません。
駐在員におすすめなのは?
ニューヨーク生活を始めたばかりの方や駐在員にとっては、契約のしやすさと快適さのバランスが取れているレンタルアパートメント、もしくはコンドミニアムが現実的な選択肢です。特にレンタルアパートは契約手続きがスムーズでアメニティも充実しているため、初めての方でも安心して生活をスタートできる代表的な住まいです。
一方、コンドミニアムは個人オーナーからの賃貸となるため、敷金(セキュリティデポジット)の返金などで思わぬトラブルが生じる可能性もあります。ただし、オーナーによっては中途解約や家賃交渉に柔軟に対応してくれるケースもあり、レンタルアパートメントよりも有利な条件で契約できる場合もあります。物件やオーナー次第では、非常に魅力的な選択肢となり得ます。
失敗しないエリア選びのヒント
ニューヨークでの住まい探しにおいて、エリア選びは最も重要なステップのひとつです。
単に「家賃の安さ」だけでなく、生活の快適さやご家族の安心につながる要素も考慮することが大切です。
特に駐在員の方が重視されるのは次のような点です。
- 治安と街の雰囲気:日中と夜間の安全性や、住んでいる人の傾向
- 通勤時間と交通アクセス:地下鉄やバスの路線、勤務先までの所要時間
- 生活利便性:日本の食品を扱うスーパー・飲食店・医療機関などへのアクセス
- 教育環境:学区の評価、学校までの通学のしやすさ
マンハッタンの各エリアの特徴+LIC

Queens・ロングアイランドシティ(LIC)
再開発が最も進んでいるエリアのひとつで、築浅の高層アパートやコンドミニアムが豊富。マンハッタンまで地下鉄でわずか数分という利便性に加え、比較的広めの間取りや新しい設備が魅力です。都会的な利便性と住宅の快適さを両立できる点から、単身者から家族層まで幅広い人気を集めています。
番外編・ウエストチェスター
学校区の評価が非常に高く、家族連れに人気の郊外エリアです。グランドセントラル駅まで電車で約45分と都心アクセスも良好。特に「ハリソン」には100名以上が所属する日本人コミュニティ「ハリソン会」があり、初めての海外生活でも安心感があります。ニューヨークとは思えないほど穏やかな街並みで、治安も良く、子どもが安心して外を歩ける環境が整っています。
弊社スタッフ自身も複数の地域に暮らした経験があり、実際の生活環境や日々の利便性を踏まえたアドバイスが可能です。条件やライフスタイルに合わせて、最適なエリアをご提案しますので、ぜひご相談ください。
賃貸物件探しの方法
契約手順とニューヨークの商習慣

上記の図の通り、ニューヨークでの住宅賃貸は、日本と同じように「条件確認 → 物件案内 → 契約条件確認 → 契約金支払い → 契約締結 → 入居」という流れで進みます。ただし、商習慣にはいくつか特徴があり、事前に理解しておくことが重要です。
代表的な日本の商習慣との違い
- 契約期間:1年ごとの更新が基本
- 保証金:相場は1か月分
- 教育環境:学区の評価、学校までの通学のしやすさ
- コンドミニアム物件:管理組合の審査や承認が必要になる場合がある
特にコンドミニアムでは、追加費用が1,000〜2,000ドル程度かかることや、審査に2〜3週間かかることも珍しくありません。
契約に必要な書類
ニューヨークでの賃貸契約には、以下のような書類が一般的に求められます。
- パスポートのコピー
- ビザの証明
- 雇用証明書(給与明細、雇用契約書など)
- 銀行残高証明(通常、家賃の40〜50倍以上の資金証明が必要)
これらを事前に準備しておくことで、審査や契約手続きがスムーズに進みます。
当社では、駐在員やご家族を中心に、安心してニューヨークでの住まい探しができるようサポートしています。スタッフ全員が不動産ライセンスを保有し、日本語での対応も可能なため、契約や審査の手続きもスムーズです。
ニューヨーク州内にある幅広い物件の中から、お客様の条件に最も合う物件をご紹介できるため、安心してご希望に沿った住まいを見つけていただけます。
契約と初期費用
ニューヨークでのご契約時には、以下のような点に特にご注意いただく必要があります。物件ごとに規定が異なるため、事前に確認することでトラブルを避けられます。
契約時の注意点
- 契約期間:1年契約が基本、物件によっては2年更新や自動更新条項もある
- 中途解約条件:1年以上住むと月単位での解約が可能な物件もあれば、再び1年更新となる物件もあるため要注意
- 家賃支払い方法と期日:米国内口座からの引き落とし・送金が主流。遅延時のペナルティも確認が必要
- 光熱費の負担区分:電気・ガス・通信は借主負担が一般的。暖房や給湯は建物負担の場合もある
- 建物規定:ペット可否や改装制限、入居審査の有無(特にコンドやコープでは審査期間が発生)
初期費用(一般的な目安)
- 敷金(Security Deposit):家賃1か月分
- 前家賃(First Month’s Rent):家賃1か月分を前払い
- 申込関連費用:審査料・建物へのMove-in fee(建物により数百ドル規模)
当社のサポート
特に駐在員の方や日本企業からの赴任の場合、米国内からの送金・支払い手続きが難航するケースが少なくありません。当社では、敷金や前家賃を立替し、オーナーへの支払いをスムーズに実施する体制を整えております。そのため、日本からの着任でも安心して契約・入居手続きが可能です。
競争の激しい市場では、事前の条件合意、資金準備、入居日の段取りが手続きを円滑に進めるカギになります。当社が実務面までしっかり伴走します。
住まいを探すタイミングとサービスアパートメントの活用
ニューヨーク赴任が決まった際、最初から長期契約の物件を決めるのは難しいものです。土地勘がない状態で契約を急ぐと、「通勤時間が想定より長い」「生活環境が合わない」といったミスマッチにつながる可能性もあります。そこで有効なのが短期滞在用のサービスアパートメントの活用です。当社では、マンハッタンに自社所有のサービスアパートメントを運営しており、安心してすぐに入居いただけます。家具付き・光熱費込みで、ホテル感覚でご利用いただけるのも利点です。実際に生活しながら、じっくり本契約用の物件を探すことができます。
さらに、渡米直後の生活立ち上げをサポートする 「ピタットパック」もご用意。空港送迎、銀行口座開設、生活必需品の手配など、日本からの赴任者が最初に戸惑いやすいポイントを幅広くサポートしています。当社では、短期から長期までスムーズに住み替えられるよう、駐在員の皆さまの安心と利便性を第一にお手伝いします。

ニューヨークの住まい探しはプロに相談するのが安心です。
物件探しから契約、生活立ち上げまで、海外での住まい探しには不安がつきものです。ニューヨークのエリア特性や不動産慣習に精通したプロと進めることで、安心して新生活をスタートできます。
スターツグループは、日本では「ピタットハウス」で広く知られ、国内47都道府県にネットワークを展開しています。さらに海外33都市にも拠点を構え、世界中で日系駐在員の住まいをサポートしてきました。ニューヨークにおいても、日本資本100%の企業として20年にわたり地域に根差したサービスを提供し、日本企業の規定や商習慣を理解したうえで、現地の不動産ルールに即した的確なサポートを行っています。

日本からでもオンラインでご相談いただけます。物件探しや契約に関することなど、どんなことでも安心してお問い合わせください。
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