【アメリカで活躍する日本企業インタビュー】Yamazen, Inc. President 豊田 淳

Yamazen, Inc.

735 E. Remington Rd, Schaumburg, IL 60173

Tel (847) 800-8588

徳島県生まれ。関西学院大学卒業。1982年、株式会社山善に入社し、東京支社で機械部の営業を務める。1992年にアメリカシカゴへ転勤、機械部の営業サポートを担当。2001年、中国深センへ赴任し、現地法人のトップに。2011年より台湾支社、支社長を4年間務める。2015年より現職。

モノづくりを支える山善、北米本社を移転拡大へ

専門商社の山善は、2017年にアメリカ法人の設立50周年を迎え、2020年(7月予定)にはシカゴにある本社を移転拡大する。事業拡大の舵を取る同社社長の豊田淳氏に、業界の動向と今後の展望を聞いた。

ーアメリカ法人の沿革を教えてください。

創業者が早くから海外進出に興味を持っており、アメリカ、タイ、台湾の3ヵ国にほぼ同時に事務所をつくりました。アメリカ法人が設立されたのは1967 年で、2017 年に50周年を迎えました。シカゴに設立され、一度ロサンゼルスに移りましたが、シカゴに戻ってきて30 年以上が経ちます。また50 周年の際に今後の方針を検討するなかで、2020 年に事務所を移転拡大することが決まりました。7 エーカーの広大な敷地に、現事務所の約2.5 倍ある13 万8 千スクエアフィート(約4 万2 千平方メートル)のビルを建てます。シカゴに拠点を持つことにはさまざまな利点があり、なかでも地の利がいいことは一番の魅力です。日本からの直行便があるうえ、アメリカ各地に行くのも便利。製造業と言えばミッドウエストと言われるほど、たくさんの機械工業に関わる会社の拠点があります。

ー事業内容を教えてください。

我が社のビジネスは、生産財関連ビジネスと消費財関連ビジネスの2 つに分かれています。生産財とは工場で使うような機械や工具などを指します。一方、消費財とは一般の方向けの製品で、ホームセンターなどで販売されています。アメリカを含む海外では主に生産財関連ビジネスが盛んで、消費財関連ビジネスは当面アメリカでの展開は予定していません。今後も生産財関連ビジネスに注力していく予定です。商社なので物を作るということはなく、機械や工具などの製品をアメリカに輸入し、販売・アフターサービスの提供を行っています。アメリカでは約6,000 点の工具と約300 台の機械の在庫を常備しています。工具よりも機械のほうが単価が高いため、機械が占める取り扱い額が9 割です。とは言え、工具にはまだまだ伸びしろがあるのでそこを追求していこうと考えています。今は99%日本のメーカーから輸入していますが、現地調達の拡大も視野に入れています。

同社が取り扱うブラザー工業の工作機械

 

ー御社の強みは。

強みの1 つは、優れたメーカーと取り引きをさせてもらい、質の良い商品を扱うことができていることです。これは先輩諸氏が各メーカーとの関係を築いてくれたおかげですね。そしてもう1 つは、我が社にエンジニアリング能力があるということ。日本だとメーカーが修理などのアフターサービスを提供してくれますが、海外で日本の商品を扱っている場合、修理のために日本のメーカーから人が派遣されることはありません。アフターサービスを自社で代行する必要があります。我が社には、営業スタッフと同等数のエンジニアが在籍しているので、それを生かしてアフターサービスに対応できることは強みと言えます。ご自身について教えてください。学生のときに1 年間インディアナ州に留学していたこともあり、もともと海外志向でした。入社後は機械部の営業マンとして機械を売り歩き、10 年間の勤務後、アメリカに転勤。そこから海外生活が始まり、今年で28 年目です。アメリカに来て最初の10 年ほどは機械部の営業サポートをしていました。販売先のほとんどはアメリカの会社なので、営業は現地の社員に行ってもらい、私は営業とメーカー間の交渉サポートなどをしていました。その後、中国に転勤になり、現地法人のトップとしてゼロから会社をつくりました。当初は私1 人だったのですが、10 年後に中国を後にするときには150 人ほどの規模にまで拡大。かなり忙しくはありましたが、中国が急成長している時期ということもあり、働いた分会社が成長したので、やりがいがあり面白かったです。その後、台湾支社の支社長を4 年間勤めて、そのままアメリカに赴任しました。

 

ー最も達成感を感じていることは。

自分が配属されたすべての事務所が売り上げの新記録を出したところです。私がチームに入るとその事務所の売り上げが伸び、絶頂期を迎えました。自分がポジティブでいると、周りの人もポジティブになっていくのかなと思います。

ーさまざまな文化を持つ人々と仕事をするうえで気をつけていることは。

私は人種間の違いはあまり感じませんし、接し方も変えないようにしています。自分が人種の違いを意識してしまうと、相手もそれを感じ取ってしまいます。自分も相手も同じ人間なので、特定の人種が信用できないということはないはずです。ただ相手を信用しているかどうかだけ。相手を信用していないと、相手もそれを感じ取るので信用してくれなくなります。仕事環境だけではなく、お客様との関係も同様です。お客様とメーカーとの関係も常に対等でありたいから、双方の立場に立って物事を考えます。

ー大きな影響を受けた人は居ますか。

両親です。素直に育ててくれて、いつも私の好きなようにさせてくれたことに感謝しています。子どもの頃から、「英語を勉強して好きなところに行ってきなさい」と言われてきました。次男ということもあるかもしれませんが、「親の面倒なんて見なくていいから、自分の子どもが一人前になるまでは面倒を見なさい。動物で親の面倒を見ているものなんかおらへん」と言ってくれたことは、今でも心に残っています。

ー最近注目している業界の動向を教えてください。

各企業のオートメーション化です。企業は機械ができる仕事は機械に任せようとしています。しかし、どのような機械を導入するかは企業の事業ごと、部署ごとに変わってくる。そこへ適切な機械を提案し、提供していくことが我々の役割です。それは、我々の会社にも当てはまります。営業や管理など、日常的な事務作業をいかにオートメーション化できるかが鍵になってくると思います。一方で、人がするべきは、もっと触れ合う仕事、コミュニケーションだと思います。

 

ー日系企業がアメリカで成功する鍵は何だと思いますか。

ポイントは3 つあると思います。まず、目的意識。アメリカでどうなりたいのか目標をはっきり持つことが大切です。それから、日本の基準や常識でものごとを考えないこと。日本の基準に当てはめるのではなく、アメリカで仕事をさせていただいてるという気持ちを忘れないことです。最後に、人間関係。アメリカに限らないことですが、クライアントや社員とコミュニケーションをよく取り、分かり合うことが成功につながると思います。

今後の展望をお聞かせください。

10 年以内に全米ナンバー1 の設備商社になりたいです。それには、最低でも今の規模の4 倍くらいまで事業を拡大させる必要があります。現時点での具体的な施策としては、会社内部のオートメーション化による業務改善、外部に向けたオートメーション化の提案、そしてe コマースを取り入れていくことです。機械は難しいですが、工具などあまり詳しい説明が必要ない製品に関してはe コマースを使うことでかなり売り上げが伸びていくと考えています。アメリカという競争の激しい地で、人よりもよく考え、スピード感を持って動くことで、目標を達成したいです。

 

 

Interviewer: Mika Nomoto
Photographer: Amy Bissonette
Editor: Kaori Kemmizaki

2019年11月18日取材